2001 1 19 (金)
晴れ |
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◆◆◆ 一味違うローカル私鉄の駅めぐり ◆◆◆ |
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銚子電鉄の乗り場はJR銚子駅のホーム先端にある |
JR銚子駅の島式ホームの先端に、一両ぽっちのかわいらしい電車が停まっているのを見た時は、思わず胸が高鳴ってしまった。大きな風呂敷包みを背負ったおばあさんや、ヨチヨチ歩きの子供を連れたお母さんが数人いるだけの銚子電鉄乗り場は、特急列車が華々しく発着し、大勢の人が行き交うJRのホームとは対照的で、それだけで旅のムードが引き立つ。このところずっと都市部の駅めぐりばかり続き、ローカル風情からしばらく遠ざかっていただけに、なおさら新鮮に思えてくる。620円の一日乗車券「弧廻手形」を買い求めると、いっそう旅への期待が膨らみ、降りる前からわくわくしてしまう。 |
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切通しの中にある本銚子は寂寥感がただよう |
全長わずか6.4キロのミニ私鉄だが、途中に駅が8つもあり、となりの駅までは軒並み1キロを割っている。ローカル線とはいえ電車は30分間隔の運転と大健闘で、完全に市民の足として定着しているようだ。最初に降りたのは本銚子。切通しの中にあるホーム一本の小さな駅だが、木造のオンボロ駅舎が建っていて、何とも風情がある。朝のラッシュ時には駅員がいるようだが、昼下がりのこの時間帯は無人だ。ホームから直接続く道路には段差がなく、はるか昔の大正12年の開業当時から、すでにバリアフリーを意識していたのだろうか。誰もいないホームにひとりたたずみ、遠い昔を思ってみる。聞こえるのは風の音ばかりで、時間がゆっくりと過ぎて行く。 |
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観音の駅で売っている鯛焼きは評判がよく、お客が絶えない |
反対方向からやって来た電車に乗り、となりの観音で降りる。こちらは打って変わって洋館風のモダンな駅舎に建て変わり、斬新なデザインが目を引く。沿線の名物となっている鯛焼きを売っている駅でもあり、あとからあとからその鯛焼きを買いに来る人が絶えない。試しに私も買ってみたが、あんこがぎっしり詰まっていて、確かにうまい。市街地に近く、地元住民のちょっとした社交場ともなっていて、駅が町の顔として定着しているようだ。そんな駅の素顔にじかに触れることができる駅めぐりは、やっぱり奥が深いとしみじみ思ってしまう。駅員が女性であることも、この駅に暖かみを感じる一因となっている気がする。 |
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年代物の駅舎が今も残る笠上黒生、上下の列車はここですれ違う |
笠上黒生は何とも渋い駅で、上下の列車がここで行き違うため、タブレットを交換する。開業当初から建っていると思われるオンボロ木造駅舎はいまだ現役で、窓口で切符も売っている。昨年腕木信号機が廃止され、色灯式に変わってしまったのは惜しいが、ホームに並ぶ黒色の転轍器からは、歴史の重みが感じられ、まさにタイムスリップしたかのような錯覚を覚えてしまう。関東地方の一角に、こんな時代離れした所があるなどとは、にわかには信じられないほどで、この駅を離れるのが惜しくなってくる。しかし列車が来れば、駅に別れを告げなければならないのが駅めぐりの宿命なのであり、この後ろ髪引かれるような寂しさがまたたまらないのである。 |
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終着駅には木造駅舎がよく似合う 外川にて |
終点の外川がまたいい駅で、行き止まりのレールを前にしてひっそりとたたずむ駅員滞在の木造駅舎は、まさに映画「鉄道員」そのものだ。商店街の裏手に位置しているせいか駅前に賑わいはなく、哀愁漂う終着駅はそれだけで絵になり、思わず立ちすくんでしまう。木の窓口に木のベンチ、それはもう重要文化財と言いたいくらいで、ずっとこのままの姿で残っていてもらいたいと願わずにはいられない。けれども形あるものはいつか壊れてしまうのが定めなのかもしれず、せめて自分の記憶の中にだけは、永遠にとどめておきたい。 |
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簡素な造りの西海鹿島 あたり一面キャベツ畑が広がる |
構内にあった古井戸が印象的だった海鹿島、キャベツ畑の中に埋もれるように存在していた西海鹿島、どれもこれも印象深く、脳裏に焼き付いて離れない。今日一日の成果はわずか10駅と少ないが、その分じっくり駅と触れ合うことができ、駅めぐりの楽しさを改めて思い知らされることとなった。数を競う都市部の駅めぐりもそれなりの面白さはあるが、風情を求めるのならやっぱりローカル線にはかなわない。JRに比べると、このような駅や路線はそんなに多くないが、それだけに出会った時の喜びは、生涯忘れられないものとなる。いずれにせよ、またいつか訪れてみたい所である。 |