2001 6 3(日)    晴れ

 ◆◆◆ 月に一度のチャンス到来 ◆◆◆ 



福島で発車を待つ阿武隈急行の電車

翌日は朝一番の新幹線で福島へ向かう。毎月第一日曜日には、阿武隈急行において、なんと600円で全線が乗り放題となる「阿武急の日」フリー乗車券が発売されるのだ。福島−槻木間の片道運賃だけでも本来940円もするのだから、これは破格の出血大サービスといえる。だからこのチャンスは何としても逃したくない。鈍行なら5時間近くかかる福島も、新幹線なら1時間半あまり。ちょっと気味悪いくらいのあっけなさだ。日曜日の早朝とあって、ラッシュ時特有のあわただしさはなく、親子連れやグループで遊びに行く人たちが多く目につく。皆一様にフリー切符を手にしてることから、この日を選んで乗り歩きを楽しむ人は、私以外にも結構いるらしい。



駅前にある公園は列車を待つのにはいい環境だ 二井田にて

阿武隈急行の誕生は、昭和61年7月1日とかなり新しく、それまで国鉄丸森線として営業していた槻木−丸森間17.4キロを第3セクター方式で譲り受けたことに始まる。転換2年後の昭和63年7月1日に、福島−槻木間37.5キロが新規開業し、東北本線のバイパス的要素も担うようになった。新線らしく踏切のない築堤上を走る区間が多く、途中にある駅は、ホームこそ長く駅としての貫禄はあるものの、駅舎のない無人駅が目立ち、駅めぐりとしては味気なさを否定できない。しかし駅前はよく整備されていて、ちょっとした公園になっているところが多く、ぼんやりと列車を待つにはなかなかいい環境と言えるかもしれない。



無人駅のあぶくま ここから阿武隈ライン船下りが楽しめる

梁川希望の森公園前は家族連れの行楽客が随分多い。徒歩5分くらいの所にある公園には蒸気機関車が運転されていて、子供たちには人気がありそうだ。駅自体がレストハウスになっているので、長時間の列車待ちもここでは苦にならない。県境を越えた所にある駅あぶくまは、渓谷美がすばらしいあぶくま川の断崖に位置し、「阿武隈ライン船下り」の船にここから乗船することができる。駅前には木づくりの丸森産業伝承館が建っていて、特産品の展示や土産物の販売もあり、眺めているだけでも楽しめる。このように居心地のいい駅もパラパラあるので、何もない駅との対比が却って面白く、これも駅めぐりが次第に病み付きになっていく一つの要因でもあるようだ。



丸森の駅舎内部 国鉄丸森線の頃と比べ格段に便利になった

丸森から先は、国鉄丸森線として昭和43年4月1日に先行開業した区間で、国鉄時代は一日の本数がわずかに5往復しかなく、利用したくてもできないダイヤだった。何しろ通勤通学に使える列車は、丸森を朝6時35分に出る一番列車のみで、次の列車は8時50分までなく、しかも午前中の列車はたったこれだけで、帰りも終列車が夜7時前に終わってしまうというすさまじい状況だったのである。今は最低でも1時間に一本、計22往復の列車が行き来し、終列車も夜11時過ぎまであるというのだから、その便利さはまったく比べものにならない。さらに北丸森、南角田、横倉、東船岡と4つも駅が誕生したので、その点においてもいっそう利用しやすくなったといえる。



無人駅の横倉 国鉄丸森線時代には存在しなかった駅

計24もの駅があるため、一日で全駅は厳しいかなと思っていたが、時刻表を入念に検討してみた結果、一区間だけ歩きを入れれば、何とか夕暮れ前に全駅達成できることが判明したため、あとはそれに従って坦々とコマを進めてきた。わずかでもダイヤが乱れれば、その後の行程は将棋倒しのように狂ってしまうのが全駅下車の泣き所だが、幸いそういうこともなく、無事予定通り終わらせることができた。これも世界一正確といわれる日本の鉄道技術のおかげだ。そして新幹線で一気に帰路へ。昨日が長野県で今日が福島・宮城県というあわただしい2日間となったが、実に充実した地方遠征だった。安い切符を上手に使いこなすことも、旅を楽しむ大きな要素のひとつといえる。

 

この日の乗下車駅

阿武隈急行
・福島
・卸町
・福島学院前
・向瀬上
・瀬上
・保原
・上保原
・高子
・大泉
・二井田
・梁川
・新田
・富野
・やながわ希望の
     森公園前
・あぶくま
・兜
・北丸森
・丸森
・南角田
・角田
・岡
・横倉
・槻木
・東船岡

 

 

 

 

 


         
6月2日

6月13日