2001 8 6 (月)
晴れ |
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◆◆◆ 大手私鉄が味気ないとは限らない ◆◆◆ |
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「学校前」の名前の通り、駅の裏手には由緒ある小学校が建っている |
西鉄福岡から大牟田方面へ下ること50分。筑後川鉄橋へと続く築堤を登り始め、左手から急カーブを描いて甘木線が寄り添ってくると、宮の陣の駅に着く。Vの字型につながった大牟田線の下りホームの反対側から発着するのが甘木線で、ここと甘木までの17.9キロを結んでいる。特急や急行が高速で駆け抜けて行く大牟田線に比べ、こちらは単線で編成も2両しかなく、しかもワンマン運転だ。おまけに運転間隔も30分に1本とひどくのんびりしている。同じ西鉄でありながら、大牟田線とは随分印象が異なるのは、甘木線の前身が三井電気軌道という軌道線であったことに他ならず、大手私鉄から連想される「都会の電車」というイメージとは大きくかけ離れている。今日はまずこの甘木線を攻めるが、早くもローカルムードが漂い、慌ただしく過ぎ去っただけの昨日とは明らかに様子が違う。時間的な余裕もあることだし、今日はのんびりと駅めぐりが楽しめそうだ。 |
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大堰はホーム一本の小さな駅だが、出札窓口がありちゃんと切符も売っている |
甘木線は通常30分間隔の運転だが、朝のラッシュ時には、途中の本郷折り返しの電車が間に加わるので、それもうまく活用すれば、各駅15分間の滞在でスムーズに次の駅へ移動できる。地下道や跨線橋を渡る駅はなく、すぐに外へ出られてしまう構造なので、15分もあればじっくりと駅を観察できる。委託駅が多いが、ホーム一本の小さな駅でもちゃんと窓口が開いていて、しかも早朝から深夜まで営業しているのだから感心する。出札窓口で交わされるお客さんとの会話も、日常的なことばかりで、そのやりとりを見聞きしているだけで、微笑ましく思えてくる。並行する狭い道路に沿ってコトコト走る電車には、軌道線時代の面影が残り、カーブを曲がるたびに、吊り革がカチカチと音をたててぶつかり合う様は、何とも風流である。ここにはいわゆる大手私鉄としての概念は通用せず、大手私鉄はつまらない、という思い込みは、単なる偏見でしかなかったことを思い知らされてしまった。 |
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終着駅の甘木は味のある木造駅舎が構える |
先へ進むにつれ、沿線は住宅街から田園地帯へと変わり、乗客もだんだん少なくなってくる。終点に近い上浦と馬田は、駅舎すらない完全な無人駅だ。これまでどんな小さな駅にも駅員さんがいただけに、こういう駅での乗り降りはまた新鮮な思いがする。地元の人以外でこの駅に降り立ったのは自分くらいではないか、などと妙な優越感を覚えたりする。終点の甘木は規模の小さな駅だが、味のある古い木造駅舎が構えていて、終着駅としての貫禄十分だ。途切れたレールには「果て」を意識させるうら寂しいとでも言ったような独特の哀愁が立ちこめ、一駅一駅降りながら、やっとここまでたどり着いた喜びを、じっくりとかみしめることとなる。終着駅というのは特別なもののようで、途中のどの駅よりも記憶に残りやすく、また親しみやすい駅であるとも言える。それにしても、甘木線がこんなにも風情のある路線だったとは、まったく意外なことで、おかげで充実した駅めぐりが楽しめた。 |
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倉永の駅舎は新しい造り |
後半は大牟田線の残りだ。昨日と違い、郊外が対象なので、本数はグッと少なくなり、各停と特急がそれぞれ30分毎の運転となる。特急の方は使い途がないので、実質上30分間隔となるが、上下の列車を組み合わせれば、なにも各駅30分ずつ費やす必要性はなくなる。坦々と降りていく感じで面白みには欠けるが、早くもラストスパートに入っているので、足取りは軽い。そして午後4時頃には予定していた61駅はすべて片づく。照り返しが強く、日焼けした顔がひりひりする。暑さのあまり疲れは限界まで達したが、とにかくこれで夏の課題がまた一つ片づいた。そして早くも帰路に向かう。せっかく九州まで来たのだから、効率性を考えればついでに他の所もやっつけておくべきなのだろうが、この暑さではとても体がついていけそうもなく、他の時期に出直した方が賢明だ。だから一日券の適用外となる西鉄の宮地嶽線も、なにも無理して今片づける必要はないのだ。 |
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「クモハ42」の夜の雰囲気はまたひどく幻想的だ |
今夜はこのまま京都行の夜行快速「ムーンライト九州」の自由席で移動するだけだが、時間があるので九州を一旦脱出し、小野田線の本山支線へ寄ってみた。4月8日以来の再訪となるが、何度来てもここだけは飽きることがない。旧型国電「クモハ42」の夜の走行というのがまたたまらなく幻想的で、闇夜に響く独特のモーター音と、蛍光灯に妖しく反射するニス塗りの木目シートの絶妙なコントラストに、しばし現実を忘れ、淡い陶酔に浸ることとなる。これまでの疲れなどたちまち素っ飛んでしまい、これだけ癒される電車というのは、今の路線では他に思い当たらない。本州の端っこで、なかなかやって来られない場所であることも、その価値を際立たせる要因となっているのだろう。恐らく一日中いても、飽きないのではないだろうか。そして厚狭まで戻り、予定通り「ムーンライト九州」をつかまえる。駅めぐりに費やした長い長い二日間が終わった。 |