2001
11 2 (金)
晴れ |
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◆◆◆ 切符を求めてどこまでも ◆◆◆ |
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福井駅前停留所は商店街の中にある |
JRの福井駅から西南へ数分歩いた所にある商店街の道路の真ん中に、路面電車にはおおよそ似つかわしくない大型の電車が停まっている。福井市内は道路上を走り、途中から普通の鉄道となって、武生新まで行く福井鉄道だ。人と車、そして電車が雑然と入り交じるこの町に、一般車の通行を制限して、バスや路面電車などの公共交通機関と歩行者の共存できる道路空間を取り入れるべき、トランジットモールと呼ばれる社会実験が現在行なわれている。そしてその実施に伴い、10月12日から11月4日まで、福井鉄道が500円で全線乗り放題となる「一日フリー乗車券」を発売することになったのだ。トランジットモール自体にたいした関心はないが、福井鉄道には、いわゆる乗り放題となる切符がこれまでになかったはずで、また今後も発売されるかどうか予測もできず、このチャンスを逃すまい、と無理してでも福井までやって来たのである。 |
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開業当初からの木造駅舎もまだいくつか見かけられる 家久にて |
さっそく車内で一日券を購入し、いったん終点の福井新まで乗り通し、そこから戻る形で降りて行く。夜中に激しい雨が降り、今日の天気が心配だったが、明け方には止んでいて、ホッと胸をなでおろす。駅めぐりに雨は大敵なのだ。福井鉄道は乗ること自体初めてで、見るものすべてが目新しく新鮮だ。少々くたびれた電車が田園地帯をのんびりと走る感触は、昨日までの都市部の駅めぐりとは明らかに様子が異なり、それだけで旅に出ている喜びを満喫できる。嬉しいことに、開業当初からの木造駅舎もパラパラ残っていて、これはまったく予想外のことだっただけに、感激で胸が熱くなる。巷では私のことを「木造駅舎オタク」と呼ぶ声があるが、それについて異論はなく、まったくその通りだと思っている。歴史を刻んだ古い駅舎には、木のぬくもりと共に心が癒される魅力があり、それを素直に喜べる単純さは、ある意味とっても幸せなことではなかろうか。 |
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花堂の駅舎は古ぼけたコンクリート |
電車はデータイムでも20分間隔の運転と大健闘で、これをローカル線と言っては失礼かもしれない。小さな無人駅が多く、都市部の駅のようにあちこち歩き回るわけではないので、20分では少々時間を持て余し気味になるが、のどかな所なので、多少は時間を持て余すくらいの方が却っていいくらいだ。ちょっと退屈しかけてきたところで、うまい具合に電車がやって来るというタイミングは、個々の駅をじっくり堪能できる上、なおかつリズミカルに数もこなしていけるという、駅めぐりとしては最も理想的な展開であると言えよう。それに20分間隔ならば、通常の都市路線並みのわけで、進むペースは決して遅いわけではない。駅は全部で23駅と結構あるように思えるが、1時間に3駅進めることが分かっているのだから、それをたどって行けば余裕で片づく計算が成り立つわけで、焦ることなく余裕で回れる今日の駅めぐりは、本当に楽しく、また充実している。 |
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電停の安全地帯はとても狭く乗り降りは少々危険だ 木田四ツ辻にて |
福井新を過ぎると路面走行区間となり、駅間距離はグンと短くなる。しかし20分の運転間隔は変わらず、「市電」と呼べるほどではない。さすがに道路の上で待つ20分間は長いので、それならば次の駅まで歩いた方がいい。なかには交差点を隔てて向こうとこちらで違う名前の電停などという市役所前と本町通りのような関係もあり、これだけの移動のためにわざわざ電車を使う人などまずいないと思われる。路面走行区間に入ればもうゴールは見えたようなもので、午後4時前には23駅すべてが片づき、福井鉄道も無事全駅下車を成し遂げる。これで今回の旅の任務はすべて完了したわけで、ようやくホッと一息つける。もはや足腰も立たないくらいくたくたになり、当分の間駅めぐりは休みにしたくなるが、しばらくしたら、また駅を求めて旅立ちたくなるのだろう。駅めぐりというのは、のめり込めばのめり込むほどやめられなくなる不思議な魅力に満ちあふれている。 |