2003 2 13(木)    晴れ

 ◆◆◆ 超ローカル線からの大変身 ◆◆◆ 



基山で発車を待つ甘木鉄道の列車 ホーム・改札口ともJRとは別

長旅となった九州紀行もいよいよ最終日を迎えた。さすがに疲労は隠せないが、下車駅のカウント数は確実に増えていることだし、単なる自己満足とはいえ、やはり嬉しいものだ。今日はまず、鹿児島本線の基山から分岐している甘木鉄道をやっつける。甘木鉄道は、昭和61年4月に国鉄甘木線から転換された第三セクター方式の鉄道で、基山−甘木間13.7キロを結んでいる。国鉄時代は一日に7往復しか列車が走らず、それも朝と夕方だけで、日中は8時間以上も運転されないという超ローカル線だったが、今は30分間隔で運転されるようになり、国鉄時代とのあまりの違いに驚く。さらに来る3月からは、15分間隔の運転となるようで、これはもうローカル線ではなく、完全に都市路線のダイヤだ。ここを訪れるのは、7往復だけだった国鉄時代以来のことで、恐らく様変わりしているであろう現状との比較は、ちょっと恐いものの大いに興味を引かれる。



今隈は三ヶ月余り前に開業したばかりの真新しい駅

ここも新しくできた駅がやたらと多く、駅間距離は随分と短くなった。一日券がないため歩きとの併用で進むが、隣の駅まで1キロにも満たない区間も多々あり、次の列車が来る30分の間に余裕で隣の駅まで辿り着くことができる。つまり30分に2駅の割合で消化できることになるから、進むペースはかなり速い。田園地帯を行く沿線風景は以前とかわらずのんびりしたもので、ローカル線の様相を呈している。ラッシュ時は3両編成の列車が満員になるくらい混雑したけれど、日中はレールバスタイプの小型車両が単行で行ったり来たりするだけで、また車内も程よく空いていて、慌ただしさは微塵もない。むしろ国鉄時代よりも覇気が感じられなくなったような気がするが、これは列車の本数が大幅に増えたことで、乗客が分散したことによる結果だろう。数えるほどしか列車がなかった国鉄時代とは違い、今は都合のいい時間帯を選んで乗れるようになったのだから。



太刀洗の駅舎は平和記念館になっている

かつては駅員がいて、それなりの風格を保っていた松崎や太刀洗も、当時の賑わいはなく、駅も駅前もひっそりとしている。これは平成筑豊鉄道でも感じたことだが、駅が多数新設されたことで、何も遠くの駅まで行く必要はなくなるから、結果としてそれまでの駅は寂れていく。もはや駅は町の「顔」ではなく、単にバス停のような存在に成り代わってしまったようだ。しかしこの大幅な利便性の向上に伴い、利用者は国鉄時代の4倍にも膨れ上がったというから驚嘆に値する。情緒がなくなっていくのは確かにちょっと残念な気もするが、一度は見捨てられた超ローカル線が、このような形で見事なまでに返り咲いたのだから、やはりこれは大いに讃えるべきことだろう。廃止の危機にさらされ、その存在すら忘れられていたかのような国鉄時代のことを思えば、甘木鉄道も、ようやく鉄道としての本領を発揮することができて、きっと喜んでいるに違いない。



帆柱ケーブルの車両はスイスのケーブルカーをイメージしたもの 山麓にて

特に急いだつもりはなかったが、駅は全部で11とたいしたことはないので、甘木鉄道は早くも昼前に片づいてしまう。今日はまだこれで終わりではなく、それからすかさず鹿児島本線を上り、八幡までやって来る。ここから2キロ程離れた所にある皿倉山の麓から、ケーブルカーが運行されているのだ。行き着くまでにはかなり急な上り坂が続くようだから、バスがあることを期待したが、残念ながらバスは休日のみの、しかも朝と夕方に一本あるだけで、これでは使いものにならない。諦めて歩くことにしたが、思った通り坂はとてもきつく、距離的にはたいしたことはないものの、辿り着くにはかなり困難を極めた。列車は20分間隔とわりと頻繁に運転されているが、今日の利用者は少なく、一回に2〜3人程度しか乗っていない。車両はスイスのケーブルカーをイメージしたらしく、箱根登山鉄道と同じタイプのきれいな車両が使われている。



山上からは北九州の町並みが一望できる

さっそく上まで上がってみたが、斜度は恐くなるくらい急だ。山麓駅から山上駅までの標高差は440メートルもあり、列車に乗っているというより、エレベーターで上がっている気分になる。山上からは、さらに皿倉山の山頂までリフトが続き、ケーブルカーの終点である山上駅は、単なるリフトへの乗換駅のようだが、ここからの眺めもなかなかのもので、海に面した北九州の町並みが一望できるその迫力に、しばし圧倒されてしまう。大半の人はそのままリフトに乗り換えて山頂をめざしたが、私の場合は観光に来たわけではないので、リフトには乗らず、そのままケーブルカーで引き返す。ちょっともったいないような気もしたが、今度観光で来た時の楽しみにとっておけばいい。これで今回の目的は全て果たし、同時に福岡県の駅は全て片づくこととなった。もはや疲労は完全に限界を超えたが、久々の大収穫に喜びはそれ以上に大きい。それにしても、本当に長い旅だった。

 

この日の乗下車駅

甘木鉄道
・基山
・小郡
・立野
・大板井
・松崎
・今隈
・西太刀洗
・山隈
・太刀洗
・高田
・甘木
帆柱ケーブル
・山麓
・山上
 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

         
2月12日

3月8日